県産材のこと

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県産木材を使う意義

県産材を使うことが森と私たちの暮らしを守る

木は伐っても、植えればまた成長する再生可能な資源です。
県産材を使うことは、新潟県の森から伐り出した木を消費するということであり、林業の「植える→育てる→収穫する(使う)→また植える」という循環を生み出します。この循環が行われることで人工林をはじめとした森林の適切な管理を促します。
森林は水を育み土砂の流出を防ぐなど多面的機能を持った貴重な資源です。
県産材を使うことは新潟県の森林を守り、多面的機能を持続的に発揮することに繋がり、巡り巡って私たちの暮らしを守ることに繋がります。

                                             

木材は地球にやさしい

森林の樹木は、光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収して成長します。光合成で吸収した二酸化炭素は、炭素として樹木に取り込まれ、やがて幹や葉などに貯蔵されます。
樹木を伐採しても、木材として住宅や家具等に利用すれば、炭素は貯蔵されたままとなります。
このため、木材の利用を進めることは、「都市等における第二の森林づくり」につながり、地球温暖化防止への貢献が期待されます。
木材は燃やした時や微生物に分解される時、炭素が酸素と結びつき、二酸化炭素となって大気に放出されますが、木材利用を進めることで、樹木と大気の間で炭素の循環が繰り返されるため、長期的に見ると、炭素の収支はゼロとなる「カーボンニュートラル」に貢献します。
さらに、木材は鉄やコンクリート等の資材に比べて製造や加工に必要となるエネルギーも少ないため、地球にやさしい資源と言えます。

●身近にある木材の炭素貯蔵量

出典:

環境省
「燃料別の二酸化炭素排出量の例」ガソリン2.322 kg-CO2/L

国土交通省
自動車燃費一覧(令和4年3月)24km/L

令和3年度 森林・林業白書
一戸あたりの平均木材使用量24.9m3

JACCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)
一人当たりの二酸化炭素排出量(2020年度、家庭部門)

県産材を使うことで仕事を生み出す

木材を使うことで、木を伐る・製材する・建築するといった過程が生まれます。
県産材を使うと、各過程においてマンパワーや施設整備が必要になるため、新潟県内の仕事を生み出すことに繋がります。

木材の基礎知識

木材の強度

木材は縦方向の圧縮に強く、横方向の圧縮に弱いという特徴があります。
また、コンクリートや鉄に比べて軽いわりに強いと言われています。

丸太の品質と用途

木材は1本の木から品質の異なる丸太が生産されます。
また、品質に合わせて異なる用途に使用されます。

木材の乾燥方法

伐採後の木は水分を含んでいるため、建築用材として利用する際はしっかりと乾燥させる必要があります。
乾燥していない木材は収縮率の異方性※により狂いが生じて、接合部の隙間や柱の割れの原因となります。
木材は乾燥させることで、強度が増し、接着性も向上します。

天然乾燥

木材を風通しよく積み上げ、
自然に乾燥させる

  • 木材の持つ色やツヤを保って乾燥できる
  • 乾燥には数か月かかる
  • 到達する含水率には限界がある
  • 表面割れが発生することがある

人工乾燥

乾燥機で温度や湿度を調整し、
所定の含水量まで乾燥させる

  • 短期間で乾燥させることができる
  • 天然乾燥では到達できない含水率まで到達できる
  • 表面割れを防ぐことができる

※収縮率の異方性とは

木材は、接線方向(板目)、半径方向(柾目)の順に大きく収縮し、繊維方向(木口)にはほとんど収縮しません。
このことを「収縮率の異方性」といいます。

木材がもたらす作用

  • 調湿作用調湿作用

    建築物の内装に無垢材などの木材を用いると、木の吸放湿作用によって室内の湿度をある程度一定に保つことができます。

  • 断熱性断熱性

    木材は熱の伝わる速度が遅いため断熱性があります。床材として使用すると、他の材料よりも足の冷えを防ぐことができます。

  • 衝撃緩和効果衝撃緩和効果

    木材には弾性という性質があり、衝撃が加わると組織がつぶれたりたわみが生じます。この性質により、衝撃を和らげることができます。

  • 消臭効果消臭効果

    活性炭に消臭効果があるのは一般的によく知られていますが、木材チップや枝葉も同様に消臭効果を持っています。

  • 抗菌効果抗菌効果

    スギから調製された精油や抽出物には抗菌効果が見られます。また、二酸化窒素等の大気汚染物質を除去する効果があります。

  • リラックス効果リラックス効果

    『フィトンチッド』という樹木から発散される匂い成分は、血圧を低下させるなど体をリラックスさせる作用があります。

資料

科学的データによる木材・木造建築物のQ&A 木材木造建築物はどのような効果をもたらしますか?/林野庁

数字で見る
新潟県の森林・林業

県土面積の68%が森林

新潟県は県土の総面積(126万ha)のうち68%(86万ha)が森林で、全国で6番目に広い森林面積となっています。針葉樹はスギを主としてマツ類、広葉樹はブナやナラを主体とした多様な樹種で構成されています。

出典:新潟県の森林・林業2023年

豊富な森林資源

県内の民有林の森林蓄積は人工林※を中心に充実し、令和4年3月末現在で約1.1億㎥となっています。
また人工林はその7割が一般的な利用期となる45年生以上に達しています。
※人工林は植栽や間伐など、人の手によって管理されている森林です。

県内民有林人工林の林齢別蓄積
(令和4年3月31日現在)

資料:令和4年度 新潟県の農林水産業(資料編:森林・林業)/新潟県

素材生産の取組

新潟県は、付加価値の高い持続可能な農林水産業の実現、森林資源の利用促進による林業の振興を図っています。
製材用、合板用、木質バイオマス発電用など木材の多様な需要に応えるとともに、森林資源の循環利用の促進に向けて、素材生産の拡大に取り組んでいます。

※素材生産とは

森林の立木を伐採し、丸太を生産する工程のことです。

新潟県総合計画における達成目標(成果指標)

指標名 現状値
(2017年)
中間目標
(2020年)
最終目標
(2024年)
素材
生産量
16.2万㎥/年 20万㎥/年 25万㎥/年

新潟県の素材生産量の推移

※「バイオマス等」は木質バイオマス・ペレット・おが粉の合計値で、県が独自集計・加算したもの(H27~)です。

資料:農林水産省「木材統計」及び林政課調査

公共建築物における県産材利用状況

新潟県や県内市町村では、県産材利用に関する基本方針を定めており、
県施設や市町村施設において積極的に県産材を使用しています。

単位:㎥、件

年度 H30 R1 R2 R3 R4
県施設
(件数)
559
(27)※
127
(12)
286
(17)
100
(18)
110
(14)
市町村施設
(件数)
1,498
(31)※
192
(23)
474
(24)
621
(27)※
264
(24)

(件数)
2,057
(58)
319
(35)
760
(41)
721
(45)
374
(38)

※H30及びR3は大規模木造施設において県産材が利用されたことから、例年と比べ利用量が多い。
(H30:新潟県少年自然の家371㎥、村上市スケートパーク931㎥、R3:五泉市交流拠点複合施設 250㎥など)

資料:林政課調査

県産材を利用した建築事例

中条すこやかこども園

老朽化が進んだ2保育園と1幼稚園を統合し、幼保連携型認定こども園を新設しました。木造平屋建てとし、新潟県産スギ材を主体とする地域材を構造材及び仕上げ材に利用して、子どもにやさしい木のぬくもりの溢れた園舎になっています。

  • 所在地:新潟県胎内市西条町
  • 木材使用量:443.2m³(うち県産材 325.1m³)
  • 使用樹種:県産スギ、国産カラマツ、ヒノキ
  • 施工:小野組・小野工務店特定共同企業体
  • 設計:(株)長大

柏崎工業高等学校 格技場

高等学校の格技場であること、海岸に近く塩害を考慮しなければならないという立地条件から、耐久性、都市景観、環境問題を考慮し外壁に県産材を使用しました。
地域の環境に調和した温もりが感じられる施設となっています。

  • 所在地:新潟県柏崎市
  • 木材使用量:60.4m³(うち県産材 36.2m³)
  • 使用樹種:県産スギ
  • 施工:株式会社中越興業
  • 設計:チーム・テラ有限責任事業組合

県立加茂病院

高齢化が進む加茂・田上地域にて、「地域密着型病院」のモデルを目指し改築された病院です。
「北越の小京都」と呼ばれる加茂市の地域性を生かし、多目的ホールや展望ラウンジの内装に県産材や漆喰塗を採用し、風土に馴染んだ温かみのある空間を演出しています。

  • 所在地:新潟県加茂市青海町
  • 木材使用量:13.9m³(うち県産材 12.9m³)
  • 使用樹種:県産スギ、米マツ、タモ
  • 施工:戸田・加賀田・小柳 特定共同企業体
  • 設計:佐藤総合計画・基設計 設計共同体

村上市スケートパーク

「スケートボードの聖地・むらかみ」を目指して整備されたスケートボード施設で、通年型屋内施設として国内最大規模を誇ります。
村上市の主要産業である林業をPRする建築とするため、柱、梁、トラスなどの構造材や内装材に市産材をふんだんに使用しています。

  • 所在地:新潟県村上市瀬波温泉
  • 木材使用量:1,223.4㎥(うち県産材 931.0m³)
  • 使用樹種:村上市産スギ
  • 施工:内山・水倉・大進特定共同企業体
  • 設計:㈱新日本コンサルタント新潟営業所

ラポルテ五泉

生涯学習の推進、観光と連動した産業振興の機能を併せ持った複合施設です。開放感あふれる空間で木材をふんだんに使用しており、その多くに五泉市産材を使用しています。
木のぬくもりを感じながら、買い物や遊びができる施設です。特に、立体的なネット遊具や木材に触れながら遊べる子どもの遊び場は大人気です。

  • 所在地:新潟県五泉市赤海
  • 木材使用量:518.6m³(うち五泉市産材 250.2m³)
  • 使用樹種:五泉市産スギ、米マツ
  • 施工:横山・山隆複合施設建設工事特定共同企業体
  • 設計:香山壽夫建築研究所・鈴木設計企画共同企業体
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