県産材の建物ができるまで

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木を加工する

新潟で育った木を加工する製材部門で
働く方にインタビューしました

新潟合板振興
株式会社

株式会社
太田材木店

県産材を使用した

「ECO合板」はSDGsに貢献

新潟合板振興株式会社

執行役員 総務部 部長

佐藤 憲治さん

東京都出身

Q1.創業はいつですか?

1962(昭和37)年創業で、今年60周年を迎えます。当社は接着剤総合化学品メーカーである株式会社オーシカの傘下に位置し、オーシカグループの優れた接着加工技術とともに日本で完全耐水合板製造のパイオニア企業として成長してきました。

Q2.合板について教えてください。

原木を大根のかつら剥きのように削って造られた薄い板「単板(たんぱん)」を乾燥させて、繊維方向を1枚ごとに直行させて接着剤を塗って積み重ね、貼り合わせたものが合板です。重ね合わせる単板の木の種類や厚さ、枚数、接着剤によってさまざまな製品ができます。国内の合板工場は木造建築物に用いる「構造用合板」の製造が主流で、建築内装用途に広く使われる「普通合板」をメインに製造しているのは当社だけです。

ロータリーレース:丸太を大根のカツラ剥きのように剥いて
薄い板の状態にする

接着剤を塗った板に板を重ねる作業は手作業で行う

Q3.合板はどのように作られますか?

単板をドライヤーで乾燥し、切断した後に「調板(ちょうはん)」といって乾いた単板をどのように組み合わせるか表裏用、中板(表と裏の間に入る板)用に分けて仕組みます。 次に中板の両面に接着剤を塗り、3枚、5枚、7枚など奇数で接着します。熱をかけて圧縮して接着剤を熱硬化させて成形します。最後に決められたサイズに合わせてカットして、表面に研磨仕上げを施すと合板の完成です。

熱圧で接着が終わった状態の板から湯気が出ている

Q4.オリジナル「ECO合板」とは?

海外から安い輸入合板が入ってきたときに、国内で普通合板を製造する当社ができることは?と考え、国産材を使った新しい合板の開発に取り組みました。2008(平成20)年から製造を始めた「ECO合板」が現在、当社のメイン商品です。表と裏に南洋材を使用していますが、芯材(中)に県産材のスギを使用することでコストを抑え、これまでの南洋材合板に遜色ない品質を確保。また、従来製品では使えなかった県産材の小径木、根曲がり材など県産材を使うことでSDGsにもつながっています。

Q5.県産材についてどのように考えていますか?

現在、当社で使用している主原料である原木・単板の約6割は針葉樹のスギで、県産材はその約6割です。県産材を使うことによって県内の循環型林業が構築されることを願っています。県産材の仕入れが安定して、もっと使えるようになると良いですね。

Q6.今後、どのように事業を展開していきたいと考えていますか?

親会社のオーシカグループの高度な接着加工技術を活かし、多様化する時代のニーズに応えられ、地域の林業の発展にもつながる新しい合板を開発・供給していきたいと思います。

木は生きている素材だから

難しく、面白い

新潟合板振興株式会社

生産部 次長

鷲尾 正明さん

新潟市出身

Q1.合板を作る仕事を選んだ理由は?

体を動かす仕事がいいなと思い、製造業を選びました。木や合板についての知識がなかったので、入社して初めて合板ができるまでの工程を知りましたね。今年で勤続30年になります。工場では調板の段取りを長く担当しました。調板は製造工程で最も重要な部分なので、ここで全体の流れを見る力が培われたと思います。

Q2.現在はどのような仕事をしていますか?

いくつかの部門の長を兼務しながら生産部全体の管理をしています。製造の全工程を見守りながら、事務的な仕事もしますし、工場の人手が足りなければ作業もやります。何でもやらなければいけない、何でも屋です(笑)。

工場内で作業する
調板係長の鈴木さん(左)と鷲尾さん(右)

Q3.仕事をするときに大切にしていることは?

「鉄やコンクリートなどと違い、木は自然素材で生きているものだから、同じ作業をするにも注意深く扱う必要がある」と教わってきました。それが難しくも面白いところだと思います。木の種類によってそれぞれの特徴を見極め、工程ごとにやり方を変えていかないと高品質の合板は作れません。木を扱う難しさを実感しています。

Q4.今後の目標を教えてください。

作る側にとっては様々な種類の木材を扱うことは大変ですが、高品質で種類豊富な商品をそろえていきたい。お客様から「良い合板ですね」と褒められると「良かった」と思うと同時に「この品質を継続していかないと」と気持ちが引き締まります。当社は今年60周年を迎え、今、良い方向に向かっているので自分も力を尽くしたいと思います。

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取材協力先

新潟合板振興株式会社

〒950-0886 
新潟県新潟市東区中木戸401番地
TEL:025-274-2291
HP:http://www.oshika.co.jp/niigatagohan/

新しい発想で

木材トレーサビリティーに挑戦

株式会社太田材木店

代表取締役

太田 正昭さん

柏崎市出身

Q1.材木店をはじめたきっかけは?

1958(昭和33)年に私の祖父で初代社長の太田長次郎が桐の下駄の原盤を販売する商売で太田材木店を創業しました。ゴム靴が出始めて、下駄が売れなくなったので1965(昭和40)年から建築木材の製材と同時に住宅の設計・施工の仕事を始めました。昔はお客さんが山を持っていたので冬場は山で木を伐って、春に製材をして家を建てていました。

Q2.地域の林業・製材業に関わってきて何か変化はありましたか?

祖父の代から林業を見てきましたが、昔は羽振りが良かった。良い時代だったと思います。お客様から良い品物を求められ、手を掛けて育てられた木は品質の良い製材品となり、高く売れました。私が社長になってからはオイルショックで安い外国産材が輸入されて地域材が動かなくなっていきます。現在、ウッドショックで安くなりすぎた国産材の価格が初めて上がったので、今の価格が適正になることを願っています。

Q3.県産材についてはどう思いますか?

2005(平成17)年に新潟県産材の家づくりを支援する事業が始まってから地域材を見直していかないといけないと考え、積極的に柏崎や近郊で出る材を利用しています。私たちが地域の木材を使わなければ地域の森がなくなってしまいます。県産材に付加価値を付けるため「越後長次郎杉」という自社ブランドも立ち上げました。

Q4.自社製品「OHTAG(オータグ)」について教えてください。

5年前に何をしたら木材が売れるだろう?と考えて、IT活用による農業の顔が見える化のように、木材もどこで育った木か分かると面白いんじゃないかと思ったんです。例えば自分の家の柱が柏崎の成沢で育った木と分かれば、たまたま成沢を通ったときに「うちの柱はここから来たんだ」って地域に対する思いも変わるでしょう。トレーサビリティーシステム(製造者や仕入れ情報などを記録し、履歴を追跡できる)を導入するために最初は木材にインクジェットでデータをプリントしていました。次にICチップを丸太に埋め込むことで流通のデータ管理や履歴を追跡できるICタグをシステム会社と共同で開発しました。

ICチップに記録されたデータを印字した木材

真ん中に打ち込まれているのがICチップ

Q5.どのような仕組みになっているんですか?

丸太にICタグを埋め込みます。伐採したばかりのスギに直接、打ち込むことができます。「OHTAG」は只今、特許申請中です。ICタグのツールを使えば、木材がどこに行ってもデータ情報が入っているので在庫管理もしやすいです。

Q6.新しい取り組みの反応は?

木材のデータをデジタル管理化できることで、業界から注目を集めています。家づくりにおいて、私はトレーサビリティーという形で木の記憶や成り立ちを伝えていけたらと思ったのですが、木に興味を持つのは男性で残念ながら女性はあまり…。これからは女性や子どもに向けてのアピールも考えていきたいです。林業は知られざる業界なので、少しでも地域の森や木の魅力を伝え、興味を持ってもらいたいですね。木に触れてもらうために親子で椅子づくりのワークショップも行っています。

地元の材を使って手軽に椅子づくりを楽しめる
ワークショップは1回2000円

Q7.今後、どのように林業・製材業を展開していきたいと考えていますか?

林業や製材業にITを活用していきたいです。スマホ世代の若い人たちも林業や製材業に携わりやすくなると思います。また、昨年、柏崎の山のスギを伐採し、製材・乾燥・加工してベンチと案内看板を作る取組を、柏崎市農林水産課と柏崎地域森林組合と一緒に行いました。 2月に柏崎市内の保育園・幼稚園に贈呈します。案内看板にはQRコードを施してあり、立木の伐採シーンや製材の様子などを動画で見ることができます。こういった地元林業チームでの活動も広げていけたらと思います。

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取材協力先

株式会社太田材木店

〒945-0022 新潟県柏崎市東原町12-2
TEL:0257-24-1511
HP:http://oota-zaimokuten.com/

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